研究概要 |
本研究は,波長可変レーザによる光電効果を利用してアーク作動中タングステン電極の実効仕事関数を測定すると同時に,作動中の陰極表面をマクロからミクロまで観察することにより,多方面からプラズマ・陰極系をin-situに診断・解析することを目的としたものである. 本年度は,昨年度に引き続き,波長可変レーザによる光電効果を利用したアーク作動中タングステン電極の実効仕事関数を測定した.特に,昨年度において電子エミッターを2%と十分に添加した場合にタングステン電極の実効仕事関数は添加エミッターの仕事関数に一致することが結論づけられたが,本年度はエミッター添加量が実効仕事関数に与える影響について調査した.その結果,アーク電流100Aの条件において,W電極,0.5%La_2O_3-W電極,1%La_2O_3-W電極および2%La_2O_3-W電極の各実効仕事関数がそれぞれ2.9eV,2.3eV,2.3eV,2.0eVと導出された.また,それぞれの電極表面温度は,980nmおよび950nmの狭帯域透過の光干渉フィルターを装着したデジタル高速度ビデオカメラの観察により4061K,3894K,3688K,3352Kと測定された。以上より,エミッター添加量の低下は実効仕事関数を上昇させると共に電極の作動表面温度も上昇させ,徐々に純タングステン電極化させることが明らかになった.一方,デジタルマイクロスコープを導入して作動中のタングステン電極表面の静的な様子を高解像度に観察する試みを開始した.
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