研究概要 |
環境を汚染しない岩石成分であるNb酸化物を含む硫酸酸性の水溶液からZn-Nbの複合電析を行なった。電析物中のNb元素の含有率は,電流密度,浴の撹拌,有機添加剤の有無により変化した.電流密度1〜10A/dm^2の領域では,電流密度が低くなるほどNb元素の含有率は高くなり,1A/dm^2では1.5mass%共析することがわかった。1〜10A/dm^2の領域では,電流密度が高くなるほど,亜鉛の析出速度が増加するため,相対的にNb元素の含有率は低下したと考えられる。亜鉛の電流効率は,1〜10A/dm^2の領域では,約90%であった。また,浴の撹拌を強くすると,電析物中のNb元素の含有率は低下した。Nb元素の含有率を増加させる目的で,亜鉛および水素の析出を抑制することが分かっている第四級アンモニウム塩の塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウムを浴中に添加したところ,Nb元素の含有率は逆に低下した。これは,Nb元素の析出サイトをこの添加剤が封鎖したためと推察される。ESCAにより,電析物中のNb元素はNb_2O_5の酸化物として存在していることが確認された。Nb酸化物は直径10μm程度の塊状で電析物中に共析していた。Zn-Nbの耐食性を把握するため,スパッタリング法で作成したZn-Nb被覆鋼板の耐食性を分極曲線により評価した。Zn-Nb被覆鋼板の腐食電流密度は,Nb含有率が増えるにしたがって下がり,Nb含有率30%以降ではほぼ一定となった。腐食電位は,Nb含有率が増えるにしたがって貴に移行しており,Nb40%で最も貴になった。Nbが含有されると耐食性が向上することがわかった。
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