研究課題
基盤研究(B)
La_2S_3やGd_2S_3のβ相は正方晶に属しており、高温でナローギャップ半導体である立方晶のγ相へと相変態する。β相では特有なサイトに存在する硫黄は酸素と置換できるため、その組成はLn_<10>S_<15-X>O_X(0≦X≦1)となる。β単相のLa_2S_3焼結体をパルス通電焼結法により作製し、比誘電率を測定したところ、500Hz〜1MHzの周波数域において常温で10^6に達する巨大な比誘電率を確認した。しかし、顕微ラマン分光分析による光学フォノンモードのソフト化は観察されず、巨大な比誘電率の発現は強誘電相に起因したものではないことが確認された。一方、酸素濃度の分布に起因するものと推定されるラマン強度の変化が観察され、誘電特性が焼結条件にも敏感であることから、導電性のあるβ相と絶縁体であるβ相の二相が存在し、粒界層コンデンサのような機構により大きな誘電率が発現するものと推定した。次に、La_2S_3やGd_2S_3のβ相は、高い融点、低い格子熱伝導と縮退半導体的な振る舞いを示し、さらに広い固溶範囲がキャリヤ濃度の最適化を可能にすることから、高温熱電材料としての可能性を調査した。従来、La_2S_3では不純物酸素がβ相を安定化するため、脱酸を目的に金属Tiの添加によりγ相の安定化がなされ、ZTは1000Kで0.21まで達している。本研究ではTiを2%まで添加したβ相においてもZTが0.21に達することを初めて見出し、この伝導機構がアンダーソン局在に由来するものと考察した。また、β相が存在しないGd_2S_3については、キャリア濃度の最適化を図るためにGdHxを添加したところ、ZTはGdS_<1.50>の0.04からGdS_<1.43>の0.15まで増加することを明確にした。最後に、従来の希土類酸化物のCS_2ガス硫化法に対し、NH_4SCNの分解ガスによる硫化を試み、La_2S_3とGd_2S_3において不純物酸素の含有量は不変であったものの、不純物炭素の大幅な低減を可能にした。このγ単相のGd_2S_3焼結体では、焼結体の多孔質化により熱電能と電気抵抗が増加したが、これらの細孔は真空加熱により次第に消滅することを確認された。
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