研究課題/領域番号 |
16360370
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水渡 英昭 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70030054)
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研究分担者 |
井上 亮 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (70111309)
太田 裕己 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (20271976)
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キーワード | 大入熱溶接 / HAZ靭性 / 微細介在物 / 結晶粒成長制御 / 粒内フェライト |
研究概要 |
鉄鋼構造物の製作にあたって、溶接部の靭性の問題は特に重要である。とくに高能率施工を目的とした大入熱溶接を高張力鋼板に適用すると溶接継手の熱影響部(HAZ部)の靭性が極めて劣化する。これはHAZ部が約1400℃以上の高温に長期滞留するためオーステナイト粒が極めて粗大化するためである。溶接金属、HAZ部での組織の微細化における析出物の役割は凝固過程から固相領域までのプロセスを考えると、1)析出物が凝固核になることによる鋳造組織の微細化、2)pin止め効果による溶接金属の凝固組織およびHAZ部のオーステナイト粒の粒成長抑制、3)析出物を核としたIGF(粒内フェライト)生成、の3点が主に挙げられる。これら全体のプロセスを見渡して組織微細化に最適な析出物の組成、大きさ、量、分散状態と鋼材組成、凝固条件を明らかすることは重要である。 本研究では溶鋼段階で微細な酸化物、硫化物の分散状態を制御することで、これらの析出物を核生成サイトとして生成する冷却凝固後の炭窒化物の生成挙動を制御した鋼材を、溶接熱サイクル再現装置を用いて、大入熱溶接に相当する昇温保持冷却条件下で処理をした。これは、HAZ部の粒成長抑制に適した一時脱酸生成物および冷却凝固で生じる硫化物、炭窒化物の組成、粒径分布、および分散状態についての知見を得るためである。また、HAZ部の粒成長抑制力におよぼす介在物のピン止め効果、偏析元素のsolute drag効果、析出した硫化物、炭窒化物粒子の溶解と成長関係の影響についても検討した。さらに、介在物組成および粒径分布と凝固組織、粒内フェライト析出核との相関関係を明らかにし、溶接金属とHAZ部の組織制御方法について検討した。
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