研究概要 |
本研究では,高温活性融体の熱物性値を過冷却域から広い温度範囲で高精度に測定できる装置として,坩堝からの汚染がない電磁浮遊装置を用いる.分光放射率の測定に加えて,高周波の出力を変調して交流カロリメトリーを行い,熱輸送特性である熱容量,半球全放射率,熱伝導率の測定法を確立する. 1.電磁浮遊装置設計・製作 今年度は,熱輸送特性(半球全放射率,比熱,熱伝導率)が測定できるように,まず,電磁浮遊装置を設計し製作を行った.シリコンの予備加熱用に半導体レーザを備え付けた. 2.分光放射率測定 シリコンを用いて,まず,分光放射率の測定を行う.試料の分光放射輝度R_s(λ,T)は,分光器の信号電圧から求める.分光器は,試料からの放射輝度を測定する前に予め,黒鉛製の擬似黒体を用いてキャリブレーションを行っておく.分光放射率は,放射温度計を用いて測温する場合の重要な物性値であるので,放射温度計の波長(800nmおよび970nm)を含む波長域について,過冷却域から融点以上にわたる広い温度域で測定する.試料からの放射は,絞り,ミラー,フィルター,集光レンズを介して分光器に取り込む.なお,分光器および放射温度計は研究室に既存のものを使用する.過冷却を得るための試料の冷却には高純度Heガスを導入する.過冷却度は,融点以下250K程度を目指す.試料には,FZ法により作製した単結晶シリコンを用いる.シリコンは半導体であるため,浮遊させるために予備加熱が必要である.
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