研究課題
基盤研究(B)
まず市販のFe-Cr-Al合金(Cr22%、Al5%、残Fe、通称カンタル合金)のタンマン管型形状試料を用い、電量滴定型水素分析装置で水素の透過量の測定を行った。透過量は何も表面処理を施さなくとも、すでに極めて低い値であり、1atmの純水素に対して透過係数は2×10^<-12>mol・cm^<-1>・s-^1であった。この値はAlを含まないFe-Cr系耐熱合金における値のほぼ1千分の1であり、アルミナ系酸化膜が生じる合金はクロミア系酸化膜を生じる場合に比べて耐水素透過性が非常に優れていることが明かとなった。これらの水素透過係数水素の拡散係数は表面に生じている酸化膜の厚さに対応するアルミナ嶢結体の値に近く、アルミナ系酸化膜が水素の透過を律速していることが推測された。ついで、電気化学的遮断の確認を行うため、生じた酸化膜の表面に白金多孔質電極を焼結させ、これを電極として起電力の測定および電圧を印加し電気化学的遮断の可能性の検討を行った。起電力の測定では、すでに我々が指摘した酸化膜の化学的分極により、カンタル基材中で水素分圧が高く維持されている事が確認できた。しかし、電圧印加に関しては、高水素分圧下で酸化膜が不安定となり、長時間にわたる印加が困難で、また透過量自体が低いことから明瞭な電気化学的遮断の効果を確認することは出来なかった。そこで、酸化膜の代わりに多結晶アルミナ管を用いて、電圧印加の水素透過に及ぼす効果を詳細に調べた。印加条件を変えることにより、アルミナ中の水素のポテンシャル分布が変化し、それに対応して水素を放出もしくは吸収する事が確認され、これより市販多結晶アルミナに対する水素の溶解度を決定した。また、1300℃で0.8V程度の電圧を印可して十分な時間放置すると、水素の透過量は殆ど零となることが確認され、安定なアクセプタードープのアルミナ膜が金属パイプの表面に作成することが出来れば、当初計画した通電型の水素透過遮断が原理的に可能であることが明らかになった。また、この研究の過程で金属の酸化初期における水素の異常溶解現象およびアルミナ中への水素の過飽和溶解現象、さらに金属電極の水素・プロトン電極反応特性などについても新たな知見が得られた。
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