研究課題/領域番号 |
16360380
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
松岡 正邦 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (40016671)
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研究分担者 |
滝山 博志 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (40251582)
羽田 麻衣子 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助手 (90365883)
加々良 耕二 藤沢薬品工業(株), 合成研究所, 所長(研究員)
古賀 敬一 藤沢薬品工業(株), 合成研究所, 主任(研究員)
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キーワード | ジアステレオマー / ラセミ化反応 / 優先晶析 / 高度光学分割 |
研究概要 |
医薬品の多くが光学活性物質であり、化学的に合成すると多くの場合目的とする構造の活性体(対掌体)を半量だけ含むラセミ体が形成される。一般にこのラセミ体の多くは結晶の析出に際して両成分を等モル含むラセミ化合物を形成することが知られており、何らかの手段で分割(=分離)する必要がある。一方、結晶の析出に際してラセミ混合物を形成する場合には、目的とする成分の結晶を種として添加する優先晶析法により分割が可能であるが、分割操作の後半で製品結晶の光学純度が低下するという問題を抱えている。そこで、本研究は、ラセミ体に別の光学活性体を加えて、複数の光学活性点(不斉炭素)をもつ分子(ジアステレオマー塩)を合成した上で、目的の対掌体を含むジアステレオマーを結晶として析出させて回収し、他のジアステレオマーに対してラセミ化反応を行わせて、目的の対掌体に変換することにより、目的外の成分の濃縮を抑えて従来の光学分割と比べてより高純度、より高収率な分割プロセスの原理を確立し、その妥当性を実際の医薬品中間体を用いて確認することを目的としており、本年度は「溶媒の選択」および「晶析条件の改善と決定」に焦点を当てて実験を行った。 溶媒の選択では、医薬品の晶析で広く用いられているアルコール類やアセトンなどを用いた各ジアスレテオマー塩の溶解度測定を行い、メタノールが適した溶媒であることを明らかにした。また、晶析条件の改善と決定では、ラセミ化に必要なアルデヒドの種類や分割剤であるL-酒石酸の添加量等を操作変数として実験を行い、添加するカルボン酸の酸性度に応じてラセミ化が促進されること、ジアステレオマー塩の析出速度が律速であり、優先晶析において製品結晶の光学純度が溶質濃度に依存することが判明した。
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