研究課題
本研究では、微生物、ゲル粒子、エマルション粒子、タンパク質のような生体高分子、粒子が緩く集合した凝集粒子といった、変形能が極めて大きく分離困難な"ソフトコロイド"を対象とした粒子・流体系分離のダイナミクスを解明することにより、最適操作の設計に必要な情報を提供することを目的とする。本年度は、ソフトコロイドとハードコロイドおよび両者の混合系の遠心分離、精密濾過などについて検討を行った。また、これまでに得られた成果の総括を行った。分析用遠心機を用いて、ソフトコロイドのO/Wエマルションとハードコロイドの微粒子懸濁液の遠心分離を行い、ソフトコロイドの遠心分離挙動は分離過程における粒子の接触・変形の影響を受け、ハードコロイドとは異なった特性を示すことを明らかにした。また、生成圧密層の空隙率も両者で大きく異なり、ソフトコロイドからなる圧密層の空隙率は極めて小さくなることがわかった。ソフトコロイドとハードコロイドの混合系の遠心分離では、油滴は浮上、微粒子は沈降し、クリーミング層、沈積層、それぞれの圧密が確認された。このことから、遠心分離を行うと、油滴と微粒子を相互に分離、濃縮可能なことがわかった。ソフトコロイドとハードコロイドの混合系の精密濾過では、特徴的な濾過挙動が観察され、ケークの平均濾過比抵抗が濾過の進行とともに変化することが明らかとなった。濾過終了後にケークを観察したところ、混合ケークは油滴からなる上層と微粒子からなる下層に分かれていた。ケークとして堆積した微粒子は濾過の進行とともに油滴の間隙をぬってさらにケーク内を下方に移動するため、このような現象が生じたと考えられる。本研究では、様々なソフトコロイドを対象とした各種の粒子・流体系分離操作を検討し、ソフトコロイドの分離における最も大きな特徴は、圧力の作用による粒子自体の変形能が大きいため、生成ケークや沈殿堆積層が極めて大きな圧縮性を示すことにあることがわかった。
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