研究概要 |
高分子としてポリフッ化ビニリデンを,溶媒としてジヘキシルフタレートを用い、有機化クレイを添加した系について、相図を測定した。すべての場合について、固-液相分離(高分子の結晶化)によることがわかった。クレイの添加により、やや結晶化温度は低下した。 PVDFと溶媒および有機化クレイを混練部で溶融させた後、押出機に二重管ノズル(外径1.5mm、内径0.8mm程度)を取り付け、中心部から溶媒、管周部から高分子溶液を押し出すことにより中空糸膜の作製を行った。操作変数は、中心部溶媒温度、押し出された高分子溶液が水浴バスに入るまでの距離(エアーギャップ)、高分子濃度、二重管ノズル温度等である。有効な非対称構造を形成させるためには、エアーギャップの長さを調節し、有効に溶媒を蒸発させる(高分子濃度勾配を形成させる)必要があった。得られた中空糸膜構造(スキン層厚み,多孔度,スポンジ層孔径等)と製膜条件との相関を実験的に明らかとし、特に膜の非対称性と作製条件との関係を重点的に検討した。 得られた中空糸膜について、純水透過係数の測定、ラテックス粒子(20nm〜100nm)を用いた溶質阻止実験を行った。また中空糸膜の引っ張り強度の測定を行った結果、通常のPVDF中空糸膜の強度と比較して、クレイの添加により強度が格段に向上することが明らかとなった。さらに、膜表面の水の接触角測定を行い、膜の親水性化にとってもクレイ添加効化を確認した。
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