本年度の研究実施計画に従い、非溶媒誘起相分離法による微粒子含有中空糸膜の作製と評価について検討を加えた。 用いた高分子はブチラール化度81%のポリビニルブチラール(PVB)(重合度2400)、微粒子添加物は粒子径180nmのTiO_2、溶媒はジメチルアセトアミド(DMAc)、非溶媒は水である。まず、超音波を利用してTiO_2を溶媒に分散させ、次にPVBをTiO_2-DMAc混合液に溶解させた。この溶液を用い、非溶媒誘起相分離法によりPVB/TiO_2コンポジット中空糸膜を作製した。 得られた中空糸膜の透水量結果について、PVB濃度が15wt%の場合では、TiO_2とPVBの質量比が0.1〜1.0ではあまり変化が見られなかったが、質量比は1.3に達すると透水量の顕著な増加が見られた。また、PVB濃度が10wt%の場合でも、TiO_2の添加は、透水量の向上に非常に効果的であった。 膜透水量の経時変化を検討した結果、すべての膜に対して時間の経過とともに透水量は増加し、約15日でほぼ一定の値に達した。膜表面の分析塗XPS測定のより行ったところ、時間の経過とともに膜表面にTiがより多く存在することがわかった。 膜の機械的強度の測定を行い、TiO_2の添加量の増加とともに、膜の最大応力および弾性率ともに向上することがわかった。従って、TiO_2の添加は、機械的強度の向上にも効果的であった。 最後に、膜表面の親水性の度合いを調べるために、水の接触角測定を行った。Tio_2の添加により、接触角は低下し、等にUV照射によりその減少は顕著であった。従って、TiO_2含有コンポジット中空糸膜は、低膜ファウリング性を有することも示唆された。
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