研究分担者 |
高原 淳 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (20163305)
山本 剛 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (20321979)
金田 昌之 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (50346855)
中曽 浩一 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (40363379)
|
研究概要 |
1.インクジェット成膜工程の移動現象 30-100μmの液滴を疎液面に射出し,溶媒の種類や蒸発速度を操作パラメータとして,液滴の乾燥工程を観察するとともに,生成した薄膜の膜厚分布を測定し,以下の知見を得ることができた. (1)薄膜厚みが偏る場合がしばしば観測されたが,これは周方向における接触線の固定時間の不均質性に起因していることがわかった.言い換えれば,軸対称厚みの膜を得るには,周方向における接触線の固定時間を均質にするような基板表面や雰囲気が必要となる. (2)溶媒の蒸発速度が大きくなるに従って,薄膜の形状は凹から凸に変化した.これより,蒸発速度を制御することによって,均質厚みの膜を生成できる可能性が示された. (3)液滴径と接触線後退速度をそれぞれ代表長さと代表速度にとった無次元数を導入することによって,接触線固定時間や接触固定時の平均溶媒速度と蒸発速度の関係に良好な相関関係が得られることがわかった. (4)沸点の異なる溶媒を混合した液滴を用いることによって,薄膜形状を制御できる可能性を示した. (5)基板上液滴の内部流動の可視化によって,後退過程における液滴内部流動を観察した.その結果,観察された内部循環流は数値解析結果と逆であることがわかった.今後,自然対流の駆動力である密度差と表面張力差の解析も含めて,詳細に検討する必要がある. 2.パターン基板上における液滴の分裂 前年度の実験結果に基づいて,パターン基板上における液滴の分裂を支配する因子を分類し,その一つである疎液面と親水面における蒸発面積の違いに着目した解析モデルを構築した.数値計算を行った結果,蒸発面積の相違によって,液滴分裂に及ぼす濡れコントラストや液滴径の影響を定性的に説明することができた.しかし,実験結果を完全に説明するには至っておらず,他の因子についても検討する必要がある。
|