研究課題/領域番号 |
16360388
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
米本 年邦 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40125688)
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研究分担者 |
北川 尚美 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00261503)
久保 正樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50323069)
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キーワード | 生理活性物質 / 酸化防止 / 抗酸化剤 / β-カロチン / ビタミンE / 油水二相系 |
研究概要 |
本研究は、生理活性物質としてβ-カロチンを取り上げ、両親媒性抗酸化剤であるカテキンと、脂溶性抗酸化剤ビタミンEや水溶性抗酸化剤ビタミンCの間で生じる反応を明らかにし、目的物質の酸化防止能力を飛躍的に増大できる抗酸化剤高速再生サイクルを設計することを目的とする。昨年度は、脂溶性抗酸化剤初期濃度を一定とした条件で、水溶性抗酸化剤の初期濃度を増加させると、低濃度では脂溶性抗酸化剤の消費反応が促進されてカロチン酸化の抑制期間が短くなるものの、高濃度では逆に消費が抑制されて酸化抑制期間が著しく増大することを実験と理論の両面から明らかにした。しかし、高濃度の水溶性抗酸化剤自身の酸化によって反応系内酸素の大半が消費され、この酸素不足が原因でカロチンの酸化抑制期間が増大している可能性があった。そこで本年度は、系内酸素消費による影響がない条件、すなわち、カロチンと脂溶性・水溶性抗酸化剤の各濃度を以前の実験の5分の1とした低濃度条件で酸化実験を行った。そして、脂溶性抗酸化剤濃度が水溶性抗酸化剤を添加しない場合には単調に減少するが、水溶性抗酸化剤と共に添加した場合、その添加濃度によらずに減少が止まる傾向を示し、その結果、カロチン酸化の抑制期間が著しく増大することを実験的に明らかにした。この場合での反応系内酸素消費量は10%程度と僅かであることから、このカロチン酸化の抑制は酸素不足ではないと考えられる。従って、低濃度条件では、ビタミンE自身の濃度が低いためビタミンCによるビタミンEの消費反応の寄与が小さくなって酸化促進効果が生じず、その一方で油相に僅かに溶解したビタミンCによるビタミンEの再生反応が生じてビタミンEの消費が抑制されるために酸化抑制効果のみが発現したと考えられる。
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