研究概要 |
炭酸ジメチル(DMC)はポリマー原料や燃料改質剤として用いられる高付加価値化合物である。その製造法として,我々は超臨界CO_2中でメタノールとCO_2を直接反応させてDMCを合成する試みを行い、これまで微量の水が収率に大きく影響することを確認した。つまり、収率増大のためには系内からの水の除去がキーとなる。そこで、本研究では以前に開発した熱駆動溶媒循環システムを本DMC合成反応に応用することにより,不均一触媒反応によりDMC合成を行いつつ、副生する水を除去機構を熱駆動循環内に設置したループリアクターを開発し、メタノールとCO_2を原料とするDMCの高効率生産プロセスの開発を目的とした。 本年度は装置内に反応部と水の吸着部を設け、そこに温度差を付与することで自然対流を生じさせ、反応流体を循環させる熱駆動循環型ループ式反応装置の設計および製作を行った。そのための基礎データとして,水+メタノール系においてモレキュラーシーブを吸着材とした場合の水の分離性能について検討した。その結果,150〜160℃の反応条件を加熱部として室温〜60℃程度を冷却部・吸着部とすることで,ほぼ生成する水が吸着分離できることがわかった。この結果をもとに,製作しているループ式反応装置の反応器/吸着材容量を決定した。また,触媒として用いる複合ジルコニアの焼成条件と表面積の関係を実験的に決定した。さらに、反応条件選定のために、4成分系(二酸化炭素-メタノール-DMC-水)相平衡推算のプログラムの構築を行い、操作条件を決定した。
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