| 研究概要 |
本研究の目的「固体触媒表面上で起こる化学結合の組換えの観察」を達成するために必要な装置、すなはち、拡散反射型FT/IR分光器、ガスクロマトグラフ質量分析計を導入した。これら装置に加えて、量子化学計算で支援するプログラムソフトを導入できたおかげで研究を進展させることができた。
ガスクロマトグラフ質量分析計により「生成物の分析」を正確に行うことが可能となり、反応生成物、特に副生成物の同定を行った。CeO_2,ZrO_2などの酸化物試料上へのアルコール類の吸着状態はまだ明らかにできていないが、1,3-ブタンジオールをはじめとする種々のジオールを反応物として反応を行ったときの反応液を分析し、それら触媒上での生成物と副生成物の特定をすることができた。本研究の基礎となる常圧固定層流通反応装置にて行った触媒活性試験の結果をガスクロマトグラフ質量分析計により詳細に解析した結果に、量子化学計算における知見などを加えて、ジオールのCeO_2の特定表面への吸着構造を解析して反応結果を支持する妥当な結果を得て反応機構を考察した。ジオール、モノアルコール、カルボン酸の反応におけるCeO_2などの特異的な触媒活性と反応機構について研究成果を公表した。
拡散反射型FT/IR分光器による「反応状態における反応物の吸着状態を観察」のための装置により、1,3-ブタンジオールの吸着を試みた結果、試料の蒸気圧が低いため吸着過程を観察することは出来なかった。質量分析計とガスクロマトグラフFT/IR分光計とを組み合せた装置を組み立ててしまうと生成物の分析に単独のガスクロマトグラフ質量分析計として使用できなくなるため、組み合せた装置の作製は今後の課題である。
また、1,3-ブタンジオールの脱水反応と平行して行った1,4-ブタンジオールの脱水反応において、CeO_2,ZrO_2が3-プタテン-1-オールを選択的に生成する触媒を見出した。CeO_2以外にも希土類酸化物の一部が同様に選択的な触媒作用を示すことを見出したので、この触媒技術を権利化するために特許出願をおこなった。
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