研究概要 |
酸化チタン光触媒の最大の欠点は極端に低活性であることである。従って、有機物の酸化的分解においても、極く低濃度の有機物を完全酸化することしかできない。BTXの連続分解にしても、ベンゼンの濃度が10ppmを越えると活性低下を起こす。この理由は光照射によって生じる励起状態の寿命がたかだか数ナノ秒と非常に短く、電荷分離・電荷移動が不完全なためである。今年度の本研究においては、励起状態の寿命を延ばすためアンモニアを吸着させ,吸着アンモニアが光照射により速やかに安定なアミドラジカルを生成し、結果として、アンモニアからチタンイオンへの電荷移動が起こり、約3桁長時間の電荷分離を可能にすることを見出した。(〜1分)。アミドラジカルはスピン状態の同一性から、酸素共存下の低濃度NO分子と選択的にかつ高効率で反応し、窒素分子と水分子を生成する。この反応機構を詳細に検討した。このような特性を用いれば、効率良くアミドラジカルが生成できる安定な半導体を見いだす事により、本反応が自然光を利用することは可能であろう。また、スピン禁制という制約のために、アミドラジカルは酸素分子との反応が緩慢であるが、逆に、O_2^-のようなスピン二重項酸化剤を効率良く作る事ができれば、アンモニアの低温酸化が達成できる。実際,O_2^-あるいはO_3^-のような活性酸素主我生成し,それが吸着アンモニアと光照射下で効率良く反応することを見出した。我々は酸化チタン半導体のものより低いフェルミ準位をもつ金属,金属酸化物の助触媒を酸化チタン光触媒に援用して高活性低温アンモニア除去光触媒が開発可能であることを見出した。
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