研究概要 |
本研究では安定性に優れ、工業的に有用な微生物リパーゼを構造の枠組みとして用い、その基質結合部位だけに組み合わせ変異を導入し、光学異性体基質によりスクリーニングすることで、様々な基質特異性、反応性を有するリパーゼ群を創製し、基質認識部位の構造と反応性について網羅的に解析することを目的としている。以下に本年度の主たる成果を記す。 1)昨年度までの検討によりSIMPLEX法をより効率化するため,エマルジョン中でDNA一分子をビーズ上に固定増幅させる技術を確立した。本年度は作製されたビーズライブラリーの質を向上させるため、マイクロチャネル乳化法を用いた均一なエマルジョン作製を試みた。この結果油層の組成等を見直すことにより、均一なエマルジョン中でのPCR反応に成功した。 2)Burkholderia cepacia KWI-56リパーゼと基質(2-phenylbutyrate)との反応中間体の構造モデルを、既知のホモロジーの極めて高いリパーゼ構造を基に、Cacheを用いてコンピュータ上に構築し,基質選択性に関与している可能性があるアミノ酸残基を、疎水ポケット中から4カ所予測し選び出し、疎水性アミノ酸(7種)に限定したコンビナトリアル変位を導入した。SIMPLEX法によりライブラリーを作製し、スクリーニングしたところ、野生体より高い光学選択性を有する変異体を取得することに成功した。
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