研究課題
基盤研究(B)
本研究では、安定性に優れ、工業的に有用な微生物リパーゼを構造の枠組みとして用い、その基質結合部位だけに組み合わせ変異を導入し、光学異性体基質によりスクリーニングすることで、様々な基質特異性(光学選択性)、反応性を有するリパーゼ群を創製し、基質認識部位の構造と反応性について網羅的に解析することを目的としている。以下に成果の概要を示す。1.Burkholderia cepacia KWI-56リパーゼの基質(3-phenylbutyric ester)に対する光学選択性の反転を目標として、基質-酵素複合体のコンピュータモデルを基に、基質結合ポケットの中にある4アミノ酸残基を標的とした、コンビナトリアルライブラリーをSIMPLEX法により作製した。その一次スクリーニングで得られたデータをファジーニューラルネットワーク(FNN)により解析し,基質の光学選択性とアミノ酸変異に関して一定のルールを導きだした。さらに構築したFNNルールに従い、新たな変異体を作製し、得られたルールが妥当であることを証明した。2.Burkholderia cepacia KWI-56リパーゼは、2-phenylbutyrateに対して低い光学選択性しか示さない。そこで本酵素にこの基質に対する光学選択性を付与することを目的に、酵素と反応中間体の構造モデルをコンピュータ上で構築し,基質選択性に関与している可能性があるアミノ酸残基を、疎水ポケット中から4カ所予測し選び出し、疎水性アミノ酸(7種)に限定したコンビナトリアル変位を導入した。SIMPLEX法によりライブラリーを作製し、スクリーニングしたところ、野生体より高い光学選択性を有する変異体を取得することに成功した。3.SIMPLEX法をより効率化するため,エマルジョン中でDNTA一分子をビーズ上に固定増幅させる技術を開発した。さらにこれをSIMPLEX法と組み合わせ、エマルジョンPCRによりDNA一分子からライブラリーを作製し、その後384穴プレートによる一ビーズPCRを行い、プレート上にDNAライブラリーを構築した。次に無細胞タンパク質合成系により2.で行ったリパーゼの変異ライブラリーを構築し、上記基質によりスクリーニングを行い、野生型より約20倍活性の上昇した変異体を得ることに成功した。
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