研究概要 |
本研究では,微小空力要素の風洞試験基盤技術を確立することを目標に,1.超音速マイクロ風洞の設計製作,2.マイクロ画像計測システムの構築,3.微小空力要素の製作,4.マイクロ風洞の気流検定,5.微小空力要素・微小デバイスの風洞実験、などの課題に取り組む。このうち,平成16年度は1,2,3の研究課題に取り組んだ。まず、マイクロ風洞の設計製作については、測定部10mm角の真空吸い込み式の超小型超音速風洞を製作した。測定部のマッハ数は2.0、5秒以上の通風時間が確保できる。ノズルの設計は特性曲線法によって行い、Navier Stokes Codeに基づく境界層排除厚の補正を行った。また、局所現象を定量可視化するマイクロ画像計測手法として、マイクロ・シュリーレン計測システムと、機能性蛍光物質を用いた感圧・感温分子センサ技術の2つの技術の研究開発に取り組んだ。後者については、光学計測の手段として、センサ膜の明るさを計測する「強度法」と発光の減衰を計測する「寿命法」の2つの方法を比較検討し、後者では、さらに、一度の計測で複数枚の画像を取得し、圧力と温度を同時に計測することを試みた。また、これに関連する研究として、ポリスチレンやPTMSPなどの高分子をバインダとする感圧塗料の特性を比較検討した。特に、1000ppm以下の低酸素圧での計測の再現性を実験的に調べた。他方、代表長がサブミリサイズの微小空力要素として、流路幅数百μmのマイクロ・チャネル(石英ガラス製)を製作し、高圧空気を流したときの流路の圧力損失の計測を行った。また、スロート径が250μmの超音速マイクロ・スラスタ(アルミ合金製)を製作し、感圧分子センサを用いてノズル内の圧力分布を2次元的に計測する実験に着手した。
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