円形断面放電室をもつホールスラスタTCHTシリーズの性能特性が調べられた。またイオンコレクタ、RPA及びダブルプローブを用いてプラズマ測定、イオンビーム測定を行った。さらに小型のスラスタを製作し、性能の変化を調べた。以下に得られた結果を示す。 (1)TCHT-2の実験結果から、放電室を円形断面部のみで構成した場合も安定に作動することがわかった。また円環状断面部をもつ場合と比べてより高い比推力・推進効率が得られた。 (2)TCHT-2のイオン電流分布測定から0.5mg/sの場合と1.0mg/sの場合のビーム発散角は等しいが、算出した推進剤利用効率は1.0mg/sの場合により高いことがわかった。RPA測定からイオンビームのピーク及び平均エネルギーは0.5mg/sの場合1.0mg/sに比べて若干低いことがわかった。 (3)ダブルプローブ測定より陽極付近で電子温度は高くなることがわかった。また放電室内に印加されたノズル状磁場の磁束が収束する箇所付近で電子数密度が増加することがわかった。 (4)より小型のTCHT-3AにおいてV/S比の低下によるものと思われる比推力・推進効率の低下が見られた。 (5)TCHT-3Bにおいて下流領域に強い半径方向磁場を形成することによりTCHT-3Aに比べて放電電流を抑えることができた。しかし比推力、推進効率はTCHT-3Aに比べて低くなった。 (6)TCHTシリーズホールスラスタは電力100Wにおいて約25%の推進効率を示し、低電力域においてSPTタイプより高い推進性能が得られることがわかった。
|