研究課題/領域番号 |
16360423
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
航空宇宙工学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永山 邦仁 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20040446)
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研究分担者 |
高橋 厚史 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10243924)
西山 貴史 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80363381)
久保田 士郎 産業総合技術研究所, 爆発安全研究センター, 研究員 (00294893)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | デトネーション / 固相爆薬 / 限界薬径 / レーザー起爆 / DDT / 爆轟中断 / 薄膜 / バーコーター法 |
研究概要 |
本研究では取り扱いやすくかつ安全性も考慮した薄膜状の爆薬を製作した。膜作製方法、条件を変えた一連の実験を行った。具体的には起爆薬物質DDNP(ジアゾジニトロフェノール)を主成分とし、バインダーとしてCTA(セルローストリアセテート)を加える。溶剤としてジクロロメタンを用いた。バーコーター法もしくは、テフロンテープで隔壁を作製して流し込む方法を用いることにより50μmから500μmにおよぶ膜厚の混合物膜を作製した。製作した膜はパルスレーザー照射による反応試験を行った。バインダー物質の質量分率が小さいと製膜性がわるくなりDDNPの最大質量分率は90%程度であった。製作した膜を観察すると、DDNPの粒子が下方に沈みCTAが上に集まる構造となっていた。厚い膜を製作する場合には繰り返し溶液を足して作るため、上に述べた構造が繰り返され周期構造となると推測できた。本研究で試験した条件の範囲では爆轟性を失い爆燃となった。密閉した条件では大気中で行った実験と比較すると、反応速度が速く破壊力、音響とも激しくなる。したがってたとえ爆燃でも境界条件による反応過程の影響は多大である。本研究で行った大気中の実験からきわめてユニークな燃焼過程が観測された。すなわち、パルスレーザー照射によるナノ秒のエネルギー投入により膜のレーザーアブレーションが生じる。大気中であるので、空気中の強い衝撃波、プラズマプルーム、膜上面を上方への流れ場が生じる。(レーザー投入後100ms以内)この過程の後、アブレーションで膜からはがれた微粒子が着火し燃焼が始まる。(レーザー投入後1ms程度)最後に膜面が加熱されて着火する。この着火はレーザー照射点ではなく広範囲の表面が反応を始める。以上の3段階燃焼過程は本研究の発見である。当初バーコータ法を用いて比較的薄い膜を製作試験していた。反応過程が膜厚に依存するとの予測、厚ければ限界薬径効果が薄れるとの考えから厚い膜の試験へと写った。結果的には厚い膜の方がかえって反応持続が容易でなくなる。今後も詳細な検討が望まれる。
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