研究課題/領域番号 |
16360426
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
趙 孟佑 九州工業大学, 工学部, 教授 (60243333)
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研究分担者 |
大塚 信也 九州工大学, 工学部, 助教授 (60315158)
國中 均 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授 (60234465)
豊田 和弘 宇宙環境技術研究センター, 助教授 (10361411)
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キーワード | 人工衛星 / 太陽電池 / 放電 / 帯電 / プラズマ |
研究概要 |
90年代末以降に、静止軌道(GEO)通信放送衛星内配電電圧(バス電圧)の100V化に伴って、衛星の表面帯電に起因した事故が多発化の傾向にある。GEOの表面帯電は80年代半ばにある程度解決された問題と見做されてきたが、衛星バス電圧が増加すると共に従来の対策では不十分であるとの認識が広まっている。本研究では大型GEO衛星に対応した表面帯電の緩和手法を開発することを目的とする。 炭素系接着剤(導電体)と高分子フィルム(絶縁体)を隣接させることで、フィルムが高エネルギー電子によって帯電すると同時に両者の境界(三重接合点と呼ばれる)付近の電界が高まって、炭素系接着剤から電子が放出されることを見いだした。これは一種の電界電子放出素子であるが、電子放出のための強電界はフィルムの帯電によるので電源は一切必要としない。また、衛星表面の絶縁体と構体の電位差が開き始めると同時に作動を開始するので、センサーも必要としない。よって、この電界放出素子は全く受動的なものである。実験室では3cm角の供試体(重量1g以下)から5分以上に亘って0.15mAの安定的な電流放出を確認している。大型GEO衛星に流入する高エネルギー電子(電流量は10μA/m^2程度)と同量を放出すれば衛星電位をゼロ付近に保てるが、このような素子を衛星全体で100個も装着すれば十分である。100個の素子は各所で衛星構体に炭素系接着剤で貼られるだけでよく、面倒な配線も一切必要としない。この電界放出素子については2006年6月に特許を申請した。
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