研究概要 |
基礎となる理論(運動方程式)を誘導し,それをもとに波浪中運動と操舵による操縦運動を統合できる総合計算モデルを構築した。次に,そのモデルを数値的に解き運動を求めるための計算プログラムを開発した。さらに,本計算プログラムの妥当性を確認するために,水槽試験による検証を行った。以下,項目毎に説明する。 1.総合計算モデルの構築:船の操縦運動は低周波数での運動であり,波浪動揺は比較的高周波数での運動であるという性質を利用して,低周波数と高周波数での船の運動方程式を導いた。その結果,波のない平水中においては既存のMMG型操縦運動モデル,直進航行時の波浪中においてはストリップ法に一致するような総合計算モデルが構築できることが分かった 2.計算プログラムの開発:上記総合計算モデルを数値的に解き,実際に運動を求めることができるシミュレーション計算プログラムを開発した。低周波数域における運動方程式(4元),高周波数域における運動方程式(6元)ならびに実際に運動を求めるための微分方程式(6元)の計16元連立の運動方程式を,Newmarkのβ法を用いて,数値的に解いた。 3.水槽試験による検証:SR108船型と呼ばれるコンテナ船模型を用いて,三菱重工長崎研究所耐航性能水槽(角水槽)にて,規則波中における旋回運動,zig-zag運動,プロペラ逆転停止運動といった操縦運動ならびにそのときの波浪動揺の計測を行い,それらに及ぼす波方向,波高,波周期の影響について把握した。得られた実験データを,開発した計算法による計算結果と比較したところ,良い一致を示し,本計算法の妥当性が確認された。
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