研究概要 |
造船所の内業工場における溶接・切断ヒュームによる工場内空気汚染および外業における夏期の暑熱下で熱中症は労働衛生上問題となることが多い。このために以下の研究を遂行し、成果を得た。 1.溶接・切断作業区画におけるヒューム流動・拡散状況を把握するために、NC切断ライン、小組立区画などにおいてヒューム濃度を計測し、各作業エリアにおける労働環境としてのヒューム濃度分布状態および人体に悪影響を及ぼす吸入性粒子の構成比率を調べた。そして,発生したヒュームを低濃度の極微細粒子を含む気相流と見做して,非等温場の運動量・温度・ガスの輸送方程式に基づく換気流とヒューム拡散に関する数値解析を行い、計測値との比較により解の妥当性の検証およびヒューム拡散状態の把握を行った。また、閉鎖性が高いために高濃度のヒュームに曝露する恐れがある二重化立体ブロック内においてヒューム濃度を計測した。また溶接ヒューム拡散方程式の数値解析を行い、これにより、換気ファン設置などの対策を施した場合の二重化立体ブロック内におけるヒュームの流動拡散状況について計算し、その解析結果を系統的に比較することにより、環境改善対策の有効性や実現性について考察を行った。 2.暑熱環境下の作業時において、代謝量、環境温湿度、衣服抵抗などの熱的要因が体内に与える影響を把握するために、恒温室内において、運動量、環境温度、被服などを変えながらエルゴメータを用いた運動中の皮膚温、基幹温および衣服内湿度の計測を行った。さらに、人体の熱収支モデルを作成し、これにより皮膚温を求める式を導き、これを人体の蓄熱量を表す温熱指数とした。また、熱的要因と蓄熱量との相関関係を調べ、熱的な作業限界を定めた。これにより作業中のファン等の冷却措置の種類・容量に対する労働熱環境改善の効果を考察した。
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