研究課題
昨年度、マンガンを含む廃水を処理し続けている人工湿地より単離したマンガン酸化真菌のうちの一種であるPicea glauca sp.様真菌は、およそ400ppmのMn(II)イオンを酸化することが可能であった。ただし、それには、適切なpH制御,有機炭素源の種類と濃度を与えることが必要であった。最適条件を制御することにより、生物合成によって大量のマンガン酸化物を得ることが可能となった。この生体鉱物は均質なナノポア構造をもつため、重金属イオンの吸着特性を検討した。生体合成マンガン酸化物へのCo^<2+>イオンの吸着特性を化学合成マンガン酸化物と比較したところ、前者が66mmol-Co/l mol for solid Mn以上であるのに対して、後者が28mmol-Co/l mol for solid Mnであり、生体鉱物はきわめて高いコバルト吸着容量を持っていることがわかった。またXPSにより、両者の鉱物表面を分析したところ、吸着後のCo^<2+>イオンの被覆率は、化学合成マンガン酸化物のほうが大きく、化学合成マンガン酸化物へのコバルト吸着量が生体鉱物よりも小さいことと整合していなかった。これは、前者には細孔の奥深くまでコバルトイオンが捉えられ、生体鉱物の細孔分布が小さい孔径に片寄っていることを裏付ける結果と考察される。生体鉱物へCo^<2+>イオンを吸着させる過程では、Mn^<2+>イオンが溶出する傾向が見られたが、Mn^<2+>イオンの溶出は、Co^<2+>イオンの吸着とは必ずしも連動せず、生体鉱物の低結晶性と多孔性に基づき、不安定なマンガンが水溶液中に放出したためと考えられる。重金属除去剤としてこの生体鉱物を用いるには、合成後の洗浄方法を工夫する必要がある。
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