研究概要 |
生産が終了した石油・天然ガス貯留層に天然ガスを圧入貯蔵して備蓄する方法では,間隙圧の変化による間隙構造の変化を考慮して貯留層特性を評価し,貯留層内での圧入天然ガスの流動拡散挙動を正確に評価することが重要である.そこで,間隙圧の変化が間隙構造の変化に及ぼす影響を調べるため,高圧可視化実験セルを作製し,その中でベレア砂岩に対して封圧を一定に保った状態で間隙圧を0.2MPaから26.0MPaまで変化させる実験を行い,その時の間隙構造の変化を新たに導入したデジタルマイクロスコープを用いて観察画像を取得した.取得した画像を解析することにより間隙圧の増加による間隙率の変化を調べたところ,ベレア砂岩の場合,間隙圧が25.8MPa増加することにより間隙率が約0.8%とわずかに増加することがわかった.また,間隙圧の変化が間隙率の変化に及ぼす影響因子を調べるため,間隙率が等しく形状が異なる単純な2次元間隙構造モデルに対して封圧を一定に保った状態で間隙圧を変化させる有限要素法解析を実施した.その結果,間隙圧の変化に伴う間隙率の変化率は間隙の形状係数の関数として表現できることがわかった.次に,貯留層特性評価に用いる数値間隙構造モデルを構築する方法の一つである二点相関法を用いてベレア砂岩の数値間隙構造モデルを構築し,その間隙の連結性や間隙寸法の分布についてマイクロCT画像から再構築された間隙構造モデルと比較することにより,二点相関法による間隙構造モデルの妥当性を検討した.この結果,ベレア砂岩のような比較的均質な岩石については,二点相関法を用いて適切な数値間隙構造モデルを構築できることがわかった.
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