研究課題
大型ヘリカル装置(LHD)において、高エネルギー接線NBI加熱ビームにより励起されたトロイダル・アルフベン固有モード(TAEモード)により損失される高エネルギー粒子を高速測定するため、接線E//B型NPAによる測定を電流モードに切り替えた。その結果、TAEモードによる1〜2msのバースト的な揺動中における検出粒子のエネルギー減衰が観測され、古典的なエネルギー減衰時間と比べてその変化率が大きいことが明らかになった。これは、検出粒子のエネルギー・スペクトル上の突起と欠損の対形成理論に対応した現象と考えられ、TAEモードにおける周波数変化と観測されている粒子のエネルギー変化に相関があることを示している。一方、NBI対向面のカーボン・アーマータイル上の熱負荷の高速測定に関しては、主プラズマのタイバータ熱負荷の影響が大きく、現象に対する時間応答をさらに向上させて、微少な信号変化を分離する必要のあることが明らかになった。本研究課題では、TAEモードと相互作用を生じた接線高エネルギー粒子に対して、2次元シアアルフベンスペクトルから評価されるモードのギャップ位置周辺において、径方向輸送が引き起こされ、一部は損失にいたることが実験的に確認された。また、その損失のメカニズムとして、旭モードにより径方向へ輸送された高エネルギー粒子がロスコーン領域へ侵入することが主要因であることが確認された。そして、ダイバータ周辺領域の熱負荷量が揺動磁場強度の2乗にほぼ比例することを明らかにし、TAEモードによって形成されたアイランドの重なりが高エネルギー粒子の径方向輸送を引き起こすというメカニズムを提起した。揺動を考慮した粒子軌道計算等を行うことにより、本課題で得られた成果をさらに発展させることが期待される。
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Nuclear Fusion Vol. 46
ページ: S911-S917
Proceedings of the 21th IAEA Fusion Energy Conference 2006, Chengdu, China, October 2006
ページ: EX/P4-42