研究課題
本研究では、圧力障壁構造を安定に制御することが困難な負磁気シア・プラズマについて、そこで多発するディスラプションの特性を明らかにするとともに、これを迂回しながら高ベータ・高自発電流プラズマを実現する安定運転経路を示し、これによって、ディスラプション緩和と整合した実用的な核融合炉設計指針と先進運転シナリオを提示することを目的としている。本年度は、昨年度得た成果、即ち、これまで謎とされてきたプラズマ電流の熱消滅時"負スパイク現象"の解明や負磁気シア構造の極端類型である電流ホールの形成ダイナミックス、自発電流を利用した高効率のプラズマ電流立ち上げ運転に関する重要知見などに基づき、先進運転シナリオ研究について次の特筆すべき成果を得た。明確な前兆現象がなく回避運転の指針が定まらない高ベータ・プラズマについては、新規のニューラルネット予測法を発案し、これをJT-60実験に適用しディスラプションの85%以上を回避できることを実証した。低ベータ・プラズマについては、電流分布とMHD揺動の同時高精度計測によってMHD不安定性の詳細構造を調べ、中心部に高圧力領域を持つ負磁気シア・プラズマのディスラプション発生に関する重要な知見を得た。さらに、ディスラプション挙動を与える一般的な物理モデルを提唱し、ITERで予想される急激な電磁変動現象の詳細と周辺機器に及ぼす影響を定量的に評価した。先進運転を定常化すると負磁気シア・プラズマは完全に非誘導電流駆動状態になるが、これに微弱誘導電場を摂動的に与えることで圧力障壁構造を外部から制御する核燃焼プラズマ運転シナリオを発案した。また、この完全非誘導電流駆動プラズマでは閉じ込め改善と自発電流の局在性が相互干渉する結果、Predator-prey競合系に類似の非線形振動が生じ得ることを自己無撞着な磁気流体シミュレーションによって初めて示した。これと類似の自律振動現象はToreSupraの長時間運転でも観測されており、今後、プラズマ中心部が高圧力状態となる核燃焼プラズマの定常運転研究の重要課題になると判断される。よって来年度は、上記のフランスやスイスの研究グループとの共同研究を積極的に推進していく計画である。
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