研究課題
本研究では、圧力障壁構造を安定に制御することが困難な負磁気シア・プラズマについて、そこで多発するディスラプションの特性を明らかにするとともに、これを迂回しながら高ベータ・高自発電流プラズマを実現する安定運転経路を示し、これによって、ディスラプション緩和と整合した実用的な核融合炉設計指針と先進運転シナリオを提示することを目的としている。本年度は、昨年度得た成果、即ち、前兆現象に着目した低ベータ負磁気シア・プラズマ特有のディスラプション発生機構の物理モデルや、定常負磁気シア・プラズマに対して摂動的に誘導電場を与えることで圧力障壁構造を外部から制御する運転シナリオなどに関する新規知見に基づき、今後の先進運転シナリオ研究に資する次の特筆すべき成果を得た。完全非誘導電流駆動のJT-60U負磁気シア・プラズマでNB電流駆動を停止すると、ベータ崩壊が数100msの間隔で繰り返し起きるものの大規模ディスラプションは発生しない物理的根拠を明らかにした。まず、閉込め改善の輸送シミュレーションを通じて、NBCD停止によって電場を持つ"リターン電流"が生じ、これが空間拡散することで磁気シアが変化する様子を調べた。その結果、"リターン電流"が圧力障壁部に集積して最小安全係数(q_<min>)が一時的に低下し、これによる輸送改善の結果、蓄積エネルギーが増加しベータ限界を越えたことを明らかにした。また、強い圧力障壁で蓄えられたエネルギーの約70%が失われるこのベータ崩壊のモード構造を理想MHD不安定性解析によって示し、比較的高いq_<min>(~6)の負磁気シア放電では崩壊領域が一部分に限定されるため放電が停止することがないのに対して、低いq_<min>(~2)の高性能運転の場合には崩壊領域がプラズマ全体におよんでしまうため大規模ディスラプションが起きることを明らかにした。これらの成果によって、本格燃焼の先進トカマク運転においてディスラプションを回避しながら定常、高ベータ負磁気シア・プラズマを実現するための重要物理知見を与えることができた。
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