研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、輸送障壁構造を安定に制御することが困難な負磁気シア・プラズマについて、そこで多発するディスラプションの特性を明らかにするとともに、これを迂回しながら高ベータ・高自発電流プラズマを実現する安定運転経路を示し、これによって、ディスラプション緩和と整合した実用的な核融合炉設計指針と先進運転シナリオを提示することである。本研究で得た成果は以下の通りである。磁気シアに応じた輸送改善とこれによるプラズマ圧力と自発電流の構造形成を与える自己無撞着な輸送シミュレーション・モデルを開発した。まず、熱消滅発生やその際の電流スパイク,垂直移動などのディスラプションの急激現象や、輸送障壁プラズマ運転の障害になる低ベータ・ディスラプション発生の物理モデルを構築した。これにより、ディスラプション回避の指針を示すとともに、前兆現象がほとんどないため予測が困難とされるべータ限界型ディスラプションにも適用できる新規ニューラル・ネットを発案し、その有効性をJT-60U実験で実証した。さらに、高閉込め・高自発電流特性に適した輸送障壁プラズマについて、自発電流を積極的に用いた非誘導的なプラズマ電流立ち上げや変流器コイル電流の再励磁などの先進定常運転シナリオを示した。同時に、200kW程度の小パワーの摂動的誘導電場によって輸送障壁の構造を外部から制御する革新的な核燃焼制御シナリオを発案し、このシナリオの妥当性をTCV実験で示した。NB電流駆動を停止した後間欠的なベータ崩壊が発生するJT-60U負磁気シア放電について、NB電流駆動停止によって生じた"リターン電流"が空間拡散することで輸送障壁構造に影響を与える結果、蓄積エネルギーが増大して崩壊領域が周辺部に局在化した間欠的MHD不安定性が起きることを明らかにし、大規模ディスラプション回避に資する重要知見を得た
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