我々が今まで基礎研究を進めてきた「プラズマ化学法による炭素同位体分離法」の実用化へのフィージビリティを明らかにすることを目的として以下の実験研究を行い以下の成果を得た。 (1)プラズマに赤外レーザーを重畳する研究:赤外レーザーが入射できる入射窓を持った放電管を作成し、放電プラズマに赤外レーザーを重畳した場合の同位体分離係数に対する効果を調べ、レーザー波長がCOの低振動励起準位相当の波長でないと効果がないことを明らかにした。 (2)同位体分離係数の放電管内径への依存性実験:数値計算で得られている相似則をもとに、様々な内径サイズを有する放電管を用いて同位体分離実験を行い、放電管内径のスケールアップが同位体分離系数に及ぼす影響について調べ、スケールアップ効果を明らかにした。 (3)分離係数の初期同位体組成への依存性を明らかにする実験:13Cが高濃縮されたCOガスを新たに購入し、初期同位体組成を変化させながら同位体分離実験を行い、初期組成が及ぼす影響を明らかにした。 (4)分離係数のプラズマ発生条件依存性を明らかにする実験:種々の電源によるプラズマ放電特性の違いによる分離係数の相違を調べ、最適条件が存在することを明らかにした。 (5)反応生成物である炭素膜とCO2を供給ガスであるCOに再転換する手法の確立:反応装置を多段化しカスケードを組むために、反応生成物をCOに転換するいくつかの方法として、プラズマリアクターを用いる方法を検討し、マイクロチャンネルプラズマリアクターが適していることを明らかにした。
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