研究課題
基盤研究(B)
二硼化マグネシウムを利用した超伝導中性子検出器の基本アイデアのもとに基礎研究を行った。基本要素であるMgB_2の微細加工薄膜の強磁場特性を調べ、高い臨界磁場を持つことを確かめた。また、測定システムはLabVIEWによりシステム化し、パルスレーザーによる中性子核反応模擬実験を行った。理論面からは時間依存Ginzburug-Landau方程式、Maxwe11方程式、熱伝導方程式を連立させて実際のデバイス形状や物質パラメーターを入れて、スーパーコンピューターで世界に前例のない計算を行った。MgB_2薄膜の微細加工により中性子検出器に適した形状を実現し、カルーセル型スパッタリング装置で高品質かつ表面の平滑な薄膜成長に成功した。実際には、スパッタリングターゲットを特注し、ボロン10同位体を濃縮した薄膜を作成した。既存のインフラを最大限活用したが、中性子のマシンタイムは限られていたため、パルスレーザー(パルス幅20ps)でMgB_2の中性子とボロンの核反応を模擬する実験をする必要があった。サンプリングオシロスコープ(70GHz)を利用した。超伝導体中で急激な熱パルスがどのように非平衡プロセスを行うかの理論的検討は、地球シミュレーター採択課題「超伝導ナノファブリケーションによる新奇物性と中性子検出デバイス開発のための超伝導ダイナミクスの研究」の枠組みを利用し現実のデバイスの設計を行った。MgB_2の薄膜については、情報通信研究機構で高品質の薄膜を、後熱処理が必要なく、表面が滑らかで、超伝導転移がシャープである高品質薄膜とし、ジョセフソン接合を作製した。最新の電子線リソグラフィーによる超伝導ナノファブリケーション手法を縦横に駆使することが本研究のベースであった。MgB_2を加工する技術の前人未踏の領域を開拓し、高度の性能を得て次期プロジェクトへつながるような成果が得られた。
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