水熱反応におけるタール生成の前駆反応を明確にすることを目的として研究を進めている。超臨界水ガス化においてガス化率を提言させる大きな理由がタールの生成であると考えられているが、このタールの生成には、5-ヒドロキシメチルフルフラールなどのフルフラール類が前駆体となっている可能性が指摘されている。しかしながら、これらの反応速度論的な解析は十分になされていない。そこで、本研究では、特にこれらのタール生成が進行すると考えられる150-250℃の温度範囲において反応時間と温度とを制御できる流通型反応器を用いて、モデル化合物であるグルコースの分解反応速度の測定を行った。原料のグルコース水溶液は、反応器の入口で予熱した大流量の水と混合して急速に昇温、その後、溶融塩浴に浸した管型反応器を通すことによって反応を開始した。出口生成物を急速冷却することによって所定の反応時間を実現し、定常状態が実現した時点で生成物をサンプリングした。反応時間と原料であるグルコースの濃度を変えて実験を行い、その中に含まれる反応生成物の濃度分布を測定した。その結果、フルクトース、エリスロース、アンヒドログルコース、5-ヒドロキシメチルフルフラールなどの生成物を確認し、既往の研究から得られている反応機構を参考にしつつ、これらの反応速度を最小自乗法によって決定した。同時に、各反応の前指数項と活性化エネルギーが決定された。このデータを用いて計算を行ったところ、グルコースを原料として用いた場合、原料昇温速度が大きいほどガス化が進行することが確認された。
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