研究課題
基盤研究(B)
細胞増殖は、生物のもつ最も重要な機能のひとつであるが、増殖に関わる遺伝子産物の総体や、それらの発現を統括的に調節する制御機構、またそれらと発生・分化との関わりについてはほとんどわかっていない。DREFは、ショウジョウバエ複製関連遺伝子プロモーターに共通して存在する転写調節エレメントであるDREに特異的に結合し、それらの遺伝子の転写を活性化する転写因子として発見された。これまでにDREF遺伝子導入ショウジョウバエ系統を樹立し、DREFをショウジョウバエ複眼原基で過剰発現させると、DNA合成の誘導と光受容細胞分化の抑制、さらにアポトーシスの誘導が起こり、複眼形態異常(rough eye 表現型)が引き起こされる事を明らかにしてきた。またDREFが誘導するrough eye 表現型を抑圧または増強する染色体欠失領域については、X染色体、第2染色体、第3染色体上でそれぞれマップしていた。本年度は特に第2染色体上の欠失領域内にP因子が挿入されている変異系統を入手し、DREF過剰発現系統と網羅的に交配した。その結果rough eye表現型を抑圧する突然変異として、細胞増殖に関与するfat遺伝子、翻訳開始因子eIF3p40とeIF4a遺伝子、転写関連因子little imaginal discs、brunched croked legs、また機能がわからないCG15636遺伝子など計18個を同定した。一方、rough eye表現型を増強する突然変異として、cbt、star、pigeonなど計6個を同定した。そのうちCG15636遺伝子の5‘上流域には4つのDRE配列が存在しており、DREFの標的遺伝子である可能性が高い。抗DREF抗体を用いた唾腺染色体の免疫染色法では、CG15636遺伝子の存在する第2染色体左腕25A1領域にシグナルが見られた。また抗DREF抗体を用いたクロマチン免疫沈降法でも、CG15636遺伝子5‘上流域にDREFが結合していることを示唆する結果が得られた。
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