1.線虫の体壁筋遺伝子の発現調節に関わるLIM-8について 昨年までに酵母ツーハイブリッドシステムを用いてLIM-8のN-末端側が筋肉蛋白質の転写因子CeMyoDと結合することを見いだしている。今年度はLIM-8のプロリンに富むN-末端側とLIMドメインを3つ含むC-末端側の2つのペプチドを大腸菌体内にて作成してメンブレンにブロットした。別途調製したCeMyoDを蛋白質オーバーレイ法により結合させ、CeMyoDのモノクローナル抗体を用いて確かめところ、LIM-8の全長ペプチドとのみ結合した。このことはLIM-8が折り畳まれた立体構造を取ることでCeMyoDと結合して転写制御複合体を形成することを示している。さらにCeMyoDの細胞核内での局在を調べた。昨年までにLIM-8が細胞核内のDAPIで染色されるDNAとは別の所に存在することを確かめており、LIM-8はCeMyoDと局在する場所が共通する事が分かった。 2.線虫の体壁筋遺伝子の発現を促進するCeTIS11について CeMyoDと結合するもう一つの転写因子としてC3H型Znフインガーを持つCeTIS11についても解析しており、昨年はその遺伝子をRNA干渉法によりノックダウンすると、著しく線虫の運動や産卵などの筋肉機能が低下することを見いだした。LIM-8はCeMyoDと結合して筋肉遺伝子の発現を制御していると考えられるが、CeTIS11はCeMyoDが結合するエンハンサーDNAの隣接部位に結合配列が存在しているのでLIM-8より顕著に遺伝子発現に関与しているのだろう。 CeMyoDの3つめのエンハンサーに結合する因子の単離を酵母ワンハイブリッド法により行っているが、まだ単離されてないので、H18度も引き続きスクリーニングを行う予定である。 3.その他 筋肉遺伝子発現調節を行っている5‘上流領域のエンハンサー配列についてゲノムワイドの解析を行った。
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