研究課題
基盤研究(B)
エゾアカガエル(Rana pirica)のオタマジャクシとエゾサンショウウオ(Hynobius retardatus)の幼生は、雪解けの後の北海道の池に成立する生物群集の創始者である。エゾサンショウウオ幼生は発生時のある条件で、口顎が発達した「広顎型」になる。広顎型の個体はオタマジャクシや同種の幼生を丸のみで捕食する「捕食型」である一方、エゾアカガエルのオタマジャクシは、エゾサンショウウオ幼生の捕食危機に曝されると、頭胴部を膨らませた「膨満型」になる。膨満型は、広顎型エゾサンショウウオ幼生の丸のみ型の捕食に対抗する「防御型」である。このように、これら2種の両生類の形態は可塑的で互いの捕食-被食関係に対して適応をはかっているものと解釈できる。この事実を出発点として、誘導防御・攻撃形質に関する理論的・実験的研究を発展させた。エゾアカガエルのオタマジャクシは、池の生物群集内の捕食者一般に対しても、防御形態を発現する。もっとも頻繁に出会う強力な捕食者であるヤゴによって防御形体誘導実験を行った結果、その誘導形体は、エゾサンショウウオ幼生によって誘導される防御形態とは異なっていた。エゾアカガエルのオタマジャクシは、,丸のみ型捕食者(エゾサンショウウオの幼生)に対するスペシャリスト的防御形態と、被丸のみ型の捕食者に対するジェネラリスト的防御形態の2つの異なる形態を臨機応変に発現する能力を有していることが分かった。
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