研究課題/領域番号 |
16370009
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
葛西 身延 弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (10221871)
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研究分担者 |
奥野 智旦 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (60003571)
荒川 修 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (70184265)
臼田 秀明 帝京大学, 医学部, 助教授 (90112755)
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キーワード | 光合成CO2固定速度 / ソース・シンク / シンク・リミット / ルビスコ活性阻害物質 |
研究概要 |
これまで、様々な植物を用いた研究から、光合成産物の供給(ソース)速度が需要(シンク)速度を相対的にうわまわる場合、換言すれば、植物がシンク・リミット状態になる場合には、主要なソース器官である葉に光合成産物が蓄積し、光合成によるCO_2固定速度が低下することを明らかにした。一方、サツマイモを用いた研究からは、シンク・リミット状態における光合成CO_2固定速度の低下がCO_2固定酵素であるルビスコへの活性阻害物質の結合によって引き起こされることが示された。 本年度の研究の目的の骨子は、サツマイモのシンク・リミット状態におけるルビスコの活性阻害物質が何であるかを明らかにするとともに、この阻害物質の植物のシンク・リミット状態における機能の普遍性とその阻害物質のルビスコからの解離過程について検討することである。 1.シンク・リミット状態におけるルビスコ活性阻害物質の分離同定の研究 サツマイモ植物個体をシンク・リミット状態にするためにスチームガードリング処理を行い、光合成産物が多量に蓄積し光合成速度の低下した葉を得、この葉の抽出液から、ホウレンソウ精製ルビスコに結合し、HPLCで単一ピークを示すルビスコ活性を抑制する物質分画を得た。しかし、NMRやガスマス測定により、この分画には多糖の混入が認められ、現在これを除去する方法を検討中である。 2.シンク・リミット状態におけるルビスコ活性阻害物質の光合成速度を制御する機能の普遍性と阻害物質の解離過程に関する研究 サツマイモと異なる植物として、ダイズの植物個体を用いて、二つの異なるシンク・リミット状態における光合成速度低下の機構を調べた。その結果、これらのシンク・リミット状態におけるダイズ植物個体の光合成速度低下には、いずれの場合も、不活性化型のルビスコへの既知の糖リン酸の結合が関与することが示された。現在、この阻害物質の結合・解離過程の制御に関する研究を継続中である。
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