研究課題
基盤研究(B)
森林の樹木群集における多種共存の考え方としては、ニッチ分割やトレードオフを主なメカニズムとする平衡説と、確率的過程を重視する非平衡説がある。従来は、平衡説による説明が主流であったが、近年は非平衡説がHubbellらによって強力に主張され、森林樹木の共存や多様性維持を考える上で大きな論争になっている。平衡説では、ある場所に定着する樹木は環境条件と種の生活史特性で決定される。これに対して非平衡説では、樹木の繁殖子が常にその場所に到達できない(新規加入制限がある)ため、環境条件や種特性だけでは決定されない。この研究では、新規加入制限の寄与を定量的に明らかにするため、(1)種子(あるいは繁殖子)は林内のすべての場所に到達できているのか?(2)各樹種のセーフサイトが異なっているか?を把握した上で、(3)セーフサイトや種子散布をランダマイズした場合の定着実生と現実を比較することを目的として、小川(茨城県)およびカヌマ沢(岩手県)で過去10年間以上にわたり、蓄積されてきたデータを解析するとともに、環境測定とセーフサイトの定量化を行い、新規加入やセーフサイトによる定着制限を定量的に把握することに成功した。具体的には、物理的環境条件として、光条件、土壌条件、林床植生、鉱質土壌の露出割合、生物的環境条件として、同種の成木からの距離、種子(実生)密度を説明変数として、発芽率(実生の発生率)と当年性実生の生存を解析した。その結果、環境条件による寄与率が低く偶然による要素が大きいこと、生物要因と物理要因の重要性は樹木の種類によって異なることなどが明らかとなった。これらの結果は、すでに投稿論文としてまとめられ、投稿中あるいは投稿準備中である。また、2006年の生態学会において、シンポジウムを開催し、成果を発表した。新規加入制限を定量的に評価する基本的モデルが開発され、今後論文として発表する予定である。
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