研究概要 |
シロイヌナズナCGS1遺伝子の第1エキソン領域とルシフェラーゼレポーター遺伝子を読み枠を合わせてつなぎ,SP6ファージプロモーターとポリA配列の間に挿入した融合遺伝子を構築し,キャップアナログ存在下で試験管内転写反応を行ってRNAを調製した.CGS1遺伝子第1エキソン領域内のMTO1領域近傍のコドンを翻訳終止コドンに置き換えたRNAをS-アデノシルメチオニン(AdoMet)存在下で試験管内翻訳させることにより,AdoMetに依存した翻訳の停止位置を同定した.AdoMetに依存した翻訳停止位置よりも下流に終止コドンが存在すればAdoMetに依存した翻訳停止が検出されるが,上流に終止コドンが存在すればAdoMetに依存した翻訳停止は検出されなくなると期待される.その結果,MTO1領域の直ぐ下流の特定コドンで翻訳停止が起きており,その位置はコムギ胚芽抽出液の試験管内翻訳系とウサギ網状赤血球ライセートの試験管内翻訳系で同一であると考えられた.また,CGS1遺伝子第1エキソン領域の5'末端部分に相補的なオリゴヌクレオチドを用いたハイブリッド選択法によりCGS1 mRNA分解中間体の片割れと考えられる5'側断片の解析を行った.期待される位置に3'末端を持つRNA断片がAdoMet添加に依存して検出されたが,エキソヌクレアーゼによる分解を受けたと考えられるバンドも多く検出され,方法論的改良の余地があると判断された.こうした制御に欠損を持つと期待される変異株について詳細なマッピングを進め,原因遺伝子を数Mbの領域にまで狭めた.
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