研究課題/領域番号 |
16370021
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 久美 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (90210690)
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研究分担者 |
前島 正義 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80181577)
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キーワード | Iopmoea tricolor / 花色変化 / アントシアニン / 液胞膜 / 液胞内イオン濃度 / 液胞pH上昇 / 細胞体積 / NXH |
研究概要 |
空色西洋アサガオ(Ipomoea tricolor cv.Heavenly blue)のツボミは赤紫色で開花時に青色となる。既に我々は、この花色変化が液胞pHの6.6から7.7への上昇によることを、細胞内微小pH電極を用いた液胞pHの直接測定により明らかにしている。さらに、この現象は液胞膜上に存在する種々のポンプ、輸送体の統合的な働きによるものであることを、アサガオ花弁から短時間の酵素処理により着色プロトプラストを得て、これから液胞膜小胞を調製し、液胞膜上のプロトンポンプの局在と活性上昇、および、NXH1の局在とタンパク発現および活性を測定した。その結果、開花6時間前からPPaseとNXH1のタンパク量が上昇し、開花時にはPPase、V-ATPseおよびNXH1の活性が上昇することが明らかになった。またこれらのタンパクが表層の液胞膜上に局在することも確認できた。 では、なぜ液胞がアルカリ化するのであろうか?アサガオの細胞は、開花時に約2倍体積が増加する。特に、向軸側の円錐型の細胞は、ツボミと比較して細胞の高さも底辺も大きくなる。開花するためには、細胞の伸長成長が必要である。植物細胞において、水は溶質の濃度変化に伴い受動的にしか移動しない。そこで、水の流入の面から、pH上昇機構を考察した。プロトンポンプにより液胞内に運ばれたH^+をNHX1がK^+、またはNa^+と交換換輸送することで液胞内の浸透圧を上げることが主目的であり、これにより、水が流入して開花に向けて細胞が伸長成長する。と向時に、K^+、またはNa^+の流入は、液胞内のアルカリ化を促進する。これが、西洋アサガオの開花に伴う青色化の機構であると結論できた。
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