研究課題
空色西洋アサガオ(Ipomoea tricolor cv.Heavenly blue)のツボミは赤紫色で開花時に青色となる。既に我々は、この花色変化が液胞pHの6.6から7.7への上昇によることを、細胞内微小pH電極を用いた液胞pHの直接測定により明らかにしている。さらに、この現象は液胞膜上に存在する種々のポンプ、輸送体の統合的な働きによるものであることを、アサガオ花弁から得た着色プロトプラストの液胞膜小胞を用いた実験で明らかにした。液胞膜上のプロトンポンプの量と活性上昇、および、NXH1の局在とタンパク発現および活性を測定したところ、開花6時間前からPPaseとNXH1のタンパク量が上昇し、開花時にはPPase、V-ATPseおよびNXH1の活陛が上昇することが明らかになった。またこれらのタンパクが表層の液胞膜上に局在することも確認できた。では、なぜ液胞がアルカリ化するのであろうか?開花過程で表皮有色細胞の体積は数倍に増大するが、この現象は細胞浸透圧の上昇による水吸収と伴う一種の伸長成長と推定された。しかし、浸透圧変化に寄与する液胞内イオン濃度の経時変化は不明であった。そこで、開花時の細胞体積とイオン濃度変化を分析した。露地栽培のアサガオ花弁を経時的に採取して、酵素処理により有色プロトプラストを調製した。プロトプラストの数と体積を計測後、細胞内の陽イオンと陰イオンをキャピラリー電気泳動法で分析した。主な陽イオンはK^+で開花24時間前では約50mM含まれていたが、12時間前には半減し、その後再び上昇して開花時には約40mMとなった。Mg^<2+>、Ca^<2+>はいずれも、24時間前では数mMであったものが開花時には1mM以下に減少した。主な陰イオンはCl^-とPO_4^3-でいずれも24時間前では約10mMであったが、開花に向けて1/3程度に減少した。リンゴ酸イオンは開花期を通じて一定値(約2mM)であった。
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