研究課題/領域番号 |
16370028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
高倍 昭洋 名城大学, 総合研究所, 教授 (80097766)
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研究分担者 |
田中 義人 名城大学, 理工学部, 助教授 (10247679)
日比野 隆 名城大学, 理工学部, 助教授 (70218741)
中村 辰之介 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (20114308)
四方 正光 島津製作所, 分析計測事業部・ジェノミックリサーチ室, 副主任研究員
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キーワード | 環境 / 食糧 / 塩ストレス / グリシンベタイン / 遺伝子工学 / 植物 / 耐塩性ラン藻 / 輸送 |
研究概要 |
植物をはじめ多くの生物は、様々なストレスに曝されると、グリシンベタイン(ベタイン)などの適合溶質を蓄積して蛋白質、核酸の失活を防止することが知られている。動物、植物、バクテリアを含め、ベタインはコリンの酸化により作られると考えられてきた。しかし、申請者は、最近、死海から単離された耐塩性ラン藻(Aphonothece halophytica)はグリシンの3段階のメチル化によりベタインを合成する新規の遺伝子をもっていることを明らかにした。この反応には、S-アデノシルメチオニンがメチル供与体として必要である。一方、植物のベタインは葉緑体で合成されると考えられているが、根をはじめとする他組織へのベタインの輸送機構は不明である。最近、申請者は、ベタインを蓄積する植物からはじめてベタイントランスポーター遺伝子を単離した。 コリンをコリンモノオキシゲナーゼおよびベタインアルデヒドデヒドロゲナーゼによる2段階の酸化反応によりベタインを合成する場合と、グリシンおよびサルコシンのメチル化を触媒するGSMTと、ジメチルグリシンのメチル化を触媒するDMTによるベタインの合成について検討した。その結果、メチル化酵素をコードする遺伝子を淡水性ラン藻で発現させると、淡水性ラン藻は海水中でも生育するが、コリンの酸化を触媒する酵素をコードする遺伝子を発現させたものはそのような耐塩性が見られないことが明らかになった。メチル化酵素をコードする遺伝子をアラビドプシスランで発現させると、コリンの酸化酵素遺伝子を発現させたものよりは、より強い耐塩性の付与が見られることが明らかになった。この違いを、コリンの葉緑体への供給と、グリシンの細胞質への供給の違い等から議論した。この結果は、Proc Natl Acad Sci USA.に発表した。
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