研究概要 |
本研究では、ペチュニアの花のクラスCホメオティック遺伝子pMADS3の転写制御領域を含むイントロン2を含む部分ゲノムDNA配列をペチュニアに導入すると、内在性pMADS3が花弁、がく片、葉にエクトピック発現する現象を解析している。本年度は下記の結果を得た。 1.T0世代のpMADS3エクトピック発現系統(ect-pMADS3系統)において、二つの対立pMADS3遺伝子座の発現を個別にRT-PCRで解析した結果、両遺伝子座は独立にエピジェネティック制御を受けていることが明らかになった。 2.T1世代ではT0世代とは異なる遺伝子座がエクトピック発現することがわかり、世代交代時にリセットされていることが示唆された。 3.ect-pMADS3系統において、pMADS3配列を含むdsRNAおよびsiRNAが検出され、これらのRNA分子がect-pMADS3形質発現の引き金となっていることが示唆された。 4.ect-pMADS3現象におけるdsRNAおよびsiRNAなどのRNAトリガー分子の関与を証明するため、4kbの長さをもつpMADS3イントロン2を1kbずつに4分割し、それぞれの領域に対応する逆反復配列をCaMV35Sプロモーターの制御下に発現させてRNAi様の反応を発動させるための形質転換体の作製に着手した。 5.pMADS3イントロン2領域のDNAメチル化を配列非特異的メチル化感受性制限酵素mcrBCを用いて解析したが、現時点ではect-pMADS3現象と関係づけられるDNAメチル化は検出されていない。 6.ect-pMADS3現象へのcurly leafホモログの関与について調べるため、3種類のPhCLF1,2,3のそれぞれのcDNA配列約400bpをバイナリーベクターpHELLSGATE8またはpKANNIBALに組み込んだ形質転換用コンストラクトを作製した。
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