研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、細胞の基本的特性である増殖・分化の統御に関与する遺伝子群とそれらの機能を細胞性粘菌の発生系を用いて詳細に解析することにあった。本研究で明らかにされた主要な成果は以下の通りである。1)増殖/分化のチェックポイント(GDT点)で特異的に発現するdia2遺伝子はプロモータ領域を別の遺伝子(impA)と共有しており、impAは増殖期に特異的に発現し、一方のdia2は分化開始に際して発現することを見出し、それらの転写調節領域を特定することに成功した。2)ミトコンドリア局在型分子シャペロンHSP90であるDd-TRAP1タンパク質は、前飢餓応答(prestarvation response ; PSR)に密接に関与し,RNAi法でその発現を抑制すると、PSRが顕著に阻害され、分化の開始に遅れが生じること、また、3)Dd-TRAP1は増殖期の細胞密度に応じてミトコンドリアから細胞表層に移行したり、細胞表層から再びミトコンドリアに戻り、このミトコンドリアへの帰還が分化の進行を誘導すること、さらに、4)ミトコンドリアへのDd-TRAP1の帰還には、新規の分泌性因子(PSF-3;:prestarvation factor 3)の存在が必要とされる、5)ミトコンドリアDNAを1/4にまで減少させると、細胞増殖が不能になるばかりでなく、飢餓後の分化・パターン形成がきわめて異常になる、ことなどを明らかにした。他方、6)ガン抑制遺伝子(ING1)の粘菌ホモログ(DNG1)は、おそらくヒストン修飾を介しての遺伝子調節によって、細胞増殖を調節するとともに細胞分化にも密接に関与することを実証した。なお、飢餓認識・応答および分化開始に関与する遺伝子の網羅的解析は、アメリカ・ベイラー医科大学のDrs.A.Kuspa, G.Shaulskyと共同研究中である。
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