研究概要 |
平成16年度の研究成果により、クラミドモナスのゲノムには、複数のカルシウムチャネル、TRPチャネル、そして原核生物タイプの機械受容チャネルがあることが明らかになった。 本年度において、カルシウムチャネルの部分配列のクローニングを行い、そのチャネル遺伝子が鞭毛運動の制御に関わっているかを検討した。以前のわれわれの研究によりクラミドモナスの鞭毛の電気的興奮性を欠いた突然変異体ppr1,ppr2,ppr3,ppr4が単離されていたが、ppr2において、カルシウムチャネル遺伝子の発現が検出されなかった。また、脱鞭毛をするとそのカルシウムチャネル遺伝子の発現量が上昇することから鞭毛関連遺伝子であると推定される。従って、今回同定できたカルシウムチャネルが鞭毛運動の制御に関わっていると考えられる。 一方、原核生物タイプの機械受容チャネルのcDNAの全長をクローニングし、大腸菌に発現させたところ、機械的刺激によって開く機械受容チャネルであることが判明した。原核生物タイプと異なり、陰イオン透過性が高いこと、開くときと閉じるときとで閾値が異なることが分かった。抗体を作成し細胞での局在を調べたところ、意外なことに細胞の中に存在することが分かった。今までの機械受容の研究は細胞膜での機械受容に限られていたが、今回の知見は細胞内の膜系でも機械受容を行うことを示しており、機械受容の新しい分野を切り開くものと期待される。
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