鞭毛・繊毛の運動制御には、鞭毛の細胞膜にあるカルシウムチャネルでの細胞外カルシウムイオンの流入と、カルシウムイオン濃度の上昇による軸糸の運動の変化が重要であることが分かっている。本研究では、クラミドモナスのイオンチャネルを探索・解析する。 (1)鞭毛に発現しているカルシウムチャネルの解明 平成18年度までにクローニングしたクラミドモナスのカルシウムチャネル遺伝子の抗体を作製した。その抗体を用いて蛍光抗体法により細胞での局在を調べたところ、鞭毛に局在し、しかも鞭毛の先端に多く存在することが分かった。この局在は、鞭毛の基部にあるカルシウムによる脱鞭毛装置が、不必要に働かないためのものと推察できる。また、脱鞭毛後の発現量の変化を調べたところ、有意に上昇することが分かり、たしかに鞭毛関連タンパク質として発現制御されていることが分かった。RNAiにより発現を抑制したところ、光驚動反応が見られなくなったので、光驚動反応に必要なカルシウムチャネルであることが明らかになった。 (2)クラミドモナスのTRPチャネルの解明 今までにクラミドモナスには7つのTRPチャネルが発現していることを分かっている。本年度では、抗体を作成し、局在を調べたところ、そのうちの4つが鞭毛へ局在することが明らかになった。この発見は、運動能を持っている鞭毛・繊毛がTRPチャネルを発現していることを示す初めての報告である。
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