研究課題
基盤研究(B)
鞭毛・繊毛の運動制御には、鞭毛の細胞膜にあるカルシウムチャネルでの細胞外カルシウムイオンの流入と、カルシウムイオン濃度の上昇による軸糸の運動の変化が重要であることが分かっている。本研究では、クラミドモナスのイオンチャネルを探索・解析した。1. 鞭毛に発現しているカルシウムチャネルの解明クラミドモナスのカルシウムチャネル遺伝子を探索したところ、複数の遺伝子が発現していることが分かった。このうちのひとつであるCAV2が、鞭毛でのカルシウム電流を発生しない変異体ppr2では発現していないことが明らかになった。CAV2の抗体を作製し、その抗体を用いて蛍光抗体法により細胞での局在を調べたところ、鞭毛に局在し、しかも鞭毛の先端に多く存在することが分かった。この局在は、鞭毛の基部にあるカルシウムによる脱鞭毛装置が、不必要に働かないためのものと推察できる。また、脱鞭毛後のCAV2の発現量の変化を調べたところ、有意に上昇することが分かり、たしかに鞭毛関連タンパク質として発現制御されていることが分かった。RNAiにより発現を抑制したところ、光驚動反応が見られなくなったので、CAV2は光驚動反応の時の後退遊泳に必要な鞭毛のカルシウムチャネルであることが明らかになった。2.クラミドモナスのTRPチャネルの解明クラミドモナスでのTRPチャネルが発現を調べたところ7つのチャネルが発現していることが分かった。抗体を作成し局在を調べたところ、そのうちの4つが鞭毛へ局在することが明らかになった。これは、運動能を持っている鞭毛・繊毛がTRPチャネルを発現していることを示す初めての発見である。
すべて 2009 2008 2007
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (13件)
Current Biology 19
ページ: 133-139
Biophys. J. 94
ページ: 1638-1645
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 105
ページ: 4033-4038
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 104
ページ: 5883-5888