研究課題
基盤研究(B)
本研究では、ミツバチが示す様々な社会性行動(特に、ダンスコミュニケーションと攻撃性)の分子的基盤を探るため、脳で領野や行動選択的に発現する遺伝子の同定と解析を進めた。主な研究成果は以下の通りである。(1)新規な最初期遺伝子Kakuseiの発現を指標に、ダンスコミュニケーションに関わる脳領野を調べた結果、キノコ体(昆虫脳の高次中枢)の小型ケニヨン細胞の活動が採餌蜂とダンス蜂で亢進していることを見出した。(2)女王蜂に比べて働き蜂(育児蜂/採餌蜂)に強く発現する遺伝子を検索した結果、エクダイソン情報伝達に関わるホルモン受容体HR38遺伝子が採餌蜂の脳のキノコ体の小型ケニヨン細胞選択的に発現することを示した。(3)エクダイソン情報伝達に関わる2種類の遺伝子、BR-C、E75について、いずれも脳でキノコ体選択的に発現するが、キノコ体の中では発現する神経細胞が異なることを見出し、キノコ体の神経細胞の役割分担を示唆した。(4)キノコ体選択的に発現する転写因子Mblk-1の線虫ホモログ(MBR-1)について遺伝学的な機能解析を行い、発生段階で生じる余分な神経突起の剪断において、UNC86-MBR-1の転写カスケードが関わることを示した。(5)ミツバチの視覚記憶のメカニズムを調べるために、固定した働き蜂を用いて視覚刺激と口吻伸展反射の連合学習系を開発した。この実験系を用いて、ミツバチでも視覚順応や残像が起きていることを示した。(6)攻撃蜂の脳から同定されたKakugoウイルスについて疫学調査を行い、感染率が高いコロニーでは攻撃蜂のみならず巣内の働き蜂からもウイルスが検出されることを見出した。また、ダニが感染を媒介する可能性を示した。これらの知見はいずれも独創性が高く、ミツバチの社会性行動の分子的基盤の解析の端緒となるものと期待される。
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