研究課題
基盤研究(B)
本研究は、ホソヘリカメムシとルリキンバエという、分類学的にも変態の経過も異なる2種の昆虫において、光周性における光受容器・光周時計・出力系の全貌を明らかにすることを目的とした。ホソヘリカメムシでは、光周性における光受容に重要な複眼中央部の視細胞群からの中枢への投射を解剖学的に調べ、次に出力系であるアラタ体に終末する2種類の脳ニューロンを同定した。そして、これらニューロンの選択的除去実験からアラタ体へ終末する脳側方部ニューロンが光周性において重要であること、さらに、二群の脳側方部ニューロンはいずれも光周性に関わることを示した。ルリキンバエでは、まず脳内概日時計ニューロンの形態を明らかにし、概日時計ニューロンが光周性において重要な脳側方部ニューロンとシナプス結合していることを示した。また、除去実験によって、概日時計ニューロンの光周性への関与が示唆された。これは、これまで概念的に信じられていた概日時計の光周性への関与を神経レベルで示した初めての成果である。ホソヘリカメムシで概日時計関連遺伝子period,cycle,crytochrome2を単離した。これらには明瞭な発現量の時間的振動はなく、異なる光周期下でも発現パターンに違いはなかった。ルリキンバエでは、periodおよびtimeless遺伝子の発現は明期のはじめに発現量が低下する振動パターンを示し、このパターンには光周期による違いは見られなかった。したがって、他の昆虫の結果から提唱されている「概日時計関連遺伝子の発現パターンの違いが、光周期情報としてはたらく」という仮説はいずれの種でも支持されず、それ以外に光周時計のメカニズムを検討しなければならないことが明らかになった。
すべて 2008 2007 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (19件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (49件) 図書 (1件)
Gene (In press)
Journal of Comparative Physiology A (In press)
Gene (in press)
Journal of Comparative Physiology A (in press)
Photochemistry and Photobiology 83
ページ: 76-86
Cell and Tissue Research 329
ページ: 581-593
Photochemistry and Photobiology 83(1)
Cell and Tissue Research 39(3)
Shichida, Y., Fukada, Y., (eds) Sense and Rhythm in Animals. Baifukan
ページ: 148-176
The Journal of Comparative Neurology 494
ページ: 331-344
Formosan Entomologist 26
ページ: 1-10
The Journal of Comparative Neurology 494(2)
Formosan Entomologist 26(1)
Journal of Insect Physiology 51
ページ: 669-680
The Journal of Comparative Neurology 491
ページ: 390-399
Journal of Insect Physiology 51(6)
The Journal of Comparative Neurology 91(4)
Cell and Tissue Research 318
ページ: 403-418
Cell and Tissue Research 318(2)