• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

東アジア弧状列島におけるクロショウジョウバエ区の種分化と多様性維持機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16370040
研究機関北海道教育大学

研究代表者

渡部 英昭  北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10167190)

研究分担者 戸田 正憲  北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40113592)
青塚 正志  首都大学東京, 都市教養学部, 助教授 (40106604)
並川 寛司  北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (90192244)
キーワードクロショウジョウバエ区 / robusta species group / melanica species group / quadrisetata species group / 地理的分布 / 東アジア / 野外生態 / 系統進化
研究概要

クロショウジョウバエ区の地理的分布と野外生態調査は,暖温帯と冷温帯の移行帯である新潟阿賀野川流域,亜熱帯域の沖縄本島北部琉球大学演習林,台湾福山自然保護区で行った.南西諸島での優占種はangor種群とfluvialis種群で,加えてquadrisetata種群の1新種が発見された.南西諸島ではrobusta種群は確認されなかったが,台湾高地ではrobusta種群・lacertosa亜群とokadai亜群が生息していた.本来,robusta種群は温帯種であるので,最終氷期後の気温の上昇に伴い北方に生息地を移した,また台湾では冷涼な高地に逃れたと考えられる.台湾から発見されたquadrisetata種群の新種は日本本土に広域分布しているDrosophila quadrisetataに,本邦産新種は中国南部から台湾に分布するDrosophila potamophilaにそれぞれ最も近縁であることが外部形態比較および分子系統樹から明らかになった.これらのことは,日本列島に生息しているクロショウジョウバエ区の多くの種群は,日本列島が大陸の周辺部であった第四紀最終氷期に南中国・台湾を経由してきた子孫達であることを強く示唆する.温帯性のmelanica種群とvirilisについては,その起源を中国西南部雲貴高原に求めることができ,日本を含む東アジア弧状列島が,現在,欧米に分布している種にとっての祖先種の移住回廊となっていた.
新しく開発された飼育法を用いて,okadai亜群2種(Drosophila okadaiとD. neokadai)の季節消長と光周期反応を調べた.両種は強制休眠の年1化性種と思われていたが,短日条件下でのみ生殖休眠が誘起される条件休眠種であり,冷温帯域では生育可能な期間が限られているので年1世代しか完了できない.暖温帯域での生活史は今後の研究課題である.
クロショウジョウバエ区には,近年,急激に分布が拡大している種と多くの地域で消滅したと思われる種が両方含まれている.前者の例は暖温帯性のDrosophila quadrisetataで,冷涼な気候の北海道東部域(最小の46温量指数域)でも最優占種であった。後者の例はrobusta種群・robusta亜群に属するDrosophila sordidulaで,全ての調査地域で皆無か稀少種であった.このようなショウジョウバエ相の急激な変化の原因については不明である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] Genetic differentiation and cryptic speciation in natural populations of Drosophila lacertosa2007

    • 著者名/発表者名
      He, L.
    • 雑誌名

      Molecular Phylogenetics and Evolution 41(accepted)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Genitalia structure and geographic distribution of Drosophila quadrisetata (Diptera, Drosophilidae)2007

    • 著者名/発表者名
      Watabe, H
    • 雑誌名

      J. Hokkaido University of Edu cation, Natural Sciences 58・1(in press)

  • [雑誌論文] A new method for culturing Drosophila2006

    • 著者名/発表者名
      Watabe, H.
    • 雑誌名

      J. Hokkaido University of Education, Natural Sciences 57・1

      ページ: 41-47

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Molecular phylogeny of the Drosophila virilis section (Diptera : Drosophilidae) based on mitochondrial and nuclear sequences2006

    • 著者名/発表者名
      Wang, B.
    • 雑誌名

      Molecular Phylogenetics and Evolution 40

      ページ: 484-500

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Taxonomic problems in the Drosophila melanica species group (Diptera : Drosophilidae) from southern China, with special reference to karyotypes and reproductive isolation2006

    • 著者名/発表者名
      Wang, B.
    • 雑誌名

      Zoological Science 23 ・10

      ページ: 923-927

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi