研究概要 |
(1)オオハマボウとその近縁種の系統解析およびSSCP・SSP解析; オオハマボウとその近縁種4種、47サンプルについて、葉緑体DNAの5領域合計約7,500bpの配列を決定し、発表済みの配列と合わせて系統解析を行ったところ、新大陸に広く分布するH.pernambucensisとカリブ海島嶼域固有のH.elatusはオオハマボウから分化した種であることが明らかになった。また、H.pernambucensisはオオハマボウの複数のクレードに現れた。 オオハマボウとH.pernambucensisについて集団内の遺伝的組成をさらに詳しく調べるために、8つのハプロタイプグループを認識できるSSCPマーカーとSSPマーカーを用いて、58集団から得られた約1,000サンプルを用いてハプロタイプ組成の解析を行ったところ、オオハマボウでは3つのハプロタイプが分布域全体に広く分布していた。また、そのうちの一つと共通するハプロタイプは、H.pernambucensisの大西洋集団のおよそ80%以上を占めていた。一方、H.pernambucensisの太平洋集団は、この種に固有のハプロタイプにほとんど固定していた。この結果から、オオハマボウでは広い分布域全体で海流散布種子による遺伝子交流があること、H.pernambucensisでは南北両アメリカ大陸による分断で大西洋と太平洋の間で集団の遺伝的組成が極端に異なること、また、大西洋の集団ではオオハマボウからの葉緑体遺伝子の浸透があったことが示唆された。 (2)グンバイヒルガオのマイクロサテライトマーカー開発: サツマイモのマイクロサテライトマーカー開発用に設計されたPCRプライマー約90組を用いて、グンバイヒルガオでスクリーニングを行った。その結果、6組において、マイクロサテライトマーカーとして利用できる可能性が示された。
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